仕方なくいくつも重なった寿司の空箱を抱え、台所を後にする。 玄関でサンダルを履き、磨りガラスの引き戸を開ける。 −ザァアァ 雨はまたひどくなってきていた。 静かに空箱を置き、家の中に戻ろうとした時だった。 何かが視界に入った。 黒い何か。 もう一度外を見る。 そして私が見たものは… あまりにも不自然で あまりにも異様で あまりにも悲しげなものだった。