「背中…穴あけちゃった。」
洋子は貼り付いた笑顔のまま続けた。
「でも…シイはバケバケだから大丈夫だよね。たかが人間に付けられた傷なんか平気でしょ?」
違う…
「シイには分かんないよ。人間の私の気持ちなんて。」
違う…
こいつは洋子じゃない!!
「誰だお前!」
「……見れば分かるでしょ、洋子だよ。」
「ウソだ!!洋子はこんなことしない!そんなこと言わない!」
「本当よぅ。」
「!?」
急に俺の背後から声がした。
とっさに振り返るとそこには金髪の女がいた。
「その子は正真正銘の洋子。」
女の青い瞳が俺を捉え、真っ赤な唇がゆっくりと動く。
「なんなんだよお前ら!洋子は…!」
「だーいじょうぶ。あの子なら今頃学校よぅ。ちょっとあの子の感情を拝借しただけ。」
「拝借って…」
「そうよぉ〜。感情を具現化する。これが私の能力。」