「ど、どうしたんだよ。」



「……」


洋子は黙ったままだ。


体が小刻みに震えている。



「何か…あったのか?」


「……」



洋子の様子がおかしい。


どうしよう。


俺にはこんな時どう洋子に接したらいいのかわからない。


「洋子…」


言葉が出てこない。


「えっと…」


「……て……いい。」


洋子が小声でつぶやいた。


「えっ?何…?」


「消えて無くなればいい。」


洋子がゆっくりと顔をあげる。


その表情は驚くほど冷たい笑顔だった。


「……洋子…?」


その時だった。


「…うっ!」


急に背中が熱くなった。


頭がくらくらして目がかすむ。


洋子が俺から離れる。


その手は真っ赤に染まっていた。


「洋子…?何を…」