木々の中に人影を見た。
顔はよく見えないけど背はそんなに高くない。
あの人も散歩か?
だけどその人影はその場から動かなかった。
散歩じゃなさそうだ。
しかもさっきからずっとこっちを見ている気がする。
俺の姿が見えてるのか?
近づくにつれてその人影の顔がみえてくる。
肩より少し長い茶色がかった髪。
白い肌にこっちをまっすぐ見つめる目。
「……洋子!?」
間違いない。
洋子だ。
なんでこんなところに?
「洋子、お前学校は……」
洋子は黙って一歩前に踏み出す。
そして…
「!!」
洋子は俺に思いっきり抱きついた。
洋子の手が俺の服の背中を強く握っているのがわかる。