私はただぼーっと外を眺めていた。


雨の音…
けっこう激しい。




「…こ、……洋子!」


「?」


名前を呼ばれて振り返る。


「ぼけっとしてないで手伝ってよ。お茶、お配りして。」


母だった。


母はそれだけ言うと忙しそうに部屋の奥の小さな台所へ行ってしまった。






母の後に台所へ入ると、お茶の入った湯呑みが10個弱のったおぼんが流し台の横に置いてあった。


「これ、持ってけばいいの?」


「うん。」


目線を手元の洗い物に固定したまま母は頷いた。


おぼんはちょっとのせすぎなんじゃないのと思うくらい、重くはないけど運びにくかった。


零さないようにおぼんは平行に持ち、ゆっくり隣の部屋まで歩く。