―パサッ―
乾いた砂山が崩れるように、バケバコは黒い煙になって私の手から消えていった。
「これが昨日言ってた洋子にしてもらいたいことだよ。バケバケが見える人間にしかバケバコは壊せない。」
これが…私の役目。
私たちは文化ホールの外に出てきた。
「本当にありがとう。」
香澄ちゃんが私たちに深々と頭をさげる。
「勉強ばっかじゃイヤになるし…たまには弾いてあげようかな。」
そう言って香澄ちゃんは隣にいる黄金に笑いかける。
よかった。
これで一件落着だ。
「じゃあ私たちはこれで!」
香澄ちゃんが手を振って帰っていった。
「俺たちも帰るか。」
シイが二人の背中を見送りながら言う。
「そうだね…」
でもその前に…
シイには聞いておかなくちゃならないことがある。