「……?」



―ガタッ―



黄金から少し離れた床に置いてあったバケバコが揺れていた。


「…香澄?」




―ガタガタ―



「……!…だ…よ!」


バケバコから何か聞こえる…。


「黄金、出してって言ってるんじゃないか?」


黄金がバケバコの中を覗きこむ。


シイもバケバコの近くに行き、その中の声に耳を澄ませた。


私もバケバコが気になって、シイの後ろに続いた。




「出して!」




バケバコからはっきり声がする。


「あなた…私のギターなんでしょ!今すぐここから出して!」


「でも…」


「早く!言いたいことがあるの!」


「……わかった。」


香澄ちゃんの気迫に押され、黄金はバケバコを両手で持って小さく円を描くように揺すった。