「俺はお前みたいな人間を売るようなヤツには負けねぇよ!」
人間を売る?
どういうことなの…?
相変わらずシイの表情は見えないまま。
今思えばシイには不審な点が多すぎる。
私は…シイを信用していいんだよね?
黄金がシイに素手で飛びかかる。
「うっ!」
黄金の拳がシイの頬をかすめ、バランスを失ったシイは右後ろによろけた。
その時…一瞬だけシイの横顔を見た。
シイの目のすぐ下辺りに、黒いアザのようなものが見えた。
あれがさっき黄金が言ってた黒い炎…?
隙が出来たシイに黄金はさらに追い討ちを掛けようとしている。
「シイ!」
黄金の攻撃が今にもシイに入りそうな時だった。
―ガタン―