「あの双子のバケバケに力を貸したのもお前か。」


「驚きました。そこまで見破っていたとは。」


「全然驚いた顔をしていないが…」






あの双子のバケバケ、ボクの見たところ小物だ。


黒い炎の力を使わなくてもシイなら倒せたはず。


だが、シイは苦戦した。


誰かが力を貸したとしか思えん。


最初はトキかと思っていたが…






「お前は一体何がしたい。何の目的が…」


「僕に目的なんてありませんよ、ただ…楽しみたいだけ。」






空が白んでいる。


まもなく夜が明ける。






「そういえばね、この間灰音とエレジーに会いました。」


「……。」


「ちょっとからかってあげただけのつもりでしたが…二人とも本気で。」


時雨は楽しそうに語り出す。


「楽しいんですよ、灰音と戦い、シイと戦い、……そして愛しい洋子の死に際を見る。」


時雨が微笑む。


高貴な神である私でさえゾッとした。


人間ともバケバケとも思えない冷たい笑顔。