6.私の選んだ未来






「……洋子。…起きろ、…」







誰かが呼んでる。


私の体を揺すってる。


誰…?


もしかして…


「…シイ?」






しかし、目を開けた私が最初に見たのはシイではなかった。


「…灰音。」


「よかった、目を覚まして。」


「ここは…」


元の竹やぶだ。


空が明るくなりかけている。


どういうこと?


私…生きてるの?


それとも…夢?


「お前がトキを道連れにして時計に吸い込まれそうになった時、シイがお前とトキの間に飛び込んだんだ。」


「シイが…?」







灰音の話はこうだった。


私が時計に吸い込まれそうになった瞬間、トキと私の間に飛び込んだシイは、私だけを突き飛ばした。


私はそのまま気を失い、トキだけが時計に吸い込まれた。






「そうなんだ…じゃあ、トキは…」


「もういない。」


「…よかった。」


本当に良かった。


またシイに会える。