1.寂しかったの





これは虫の声か。




風の音がする。


木々を揺らしている。


抜かるんだ地面。


舗装されていない道。






そこに、二人ぶんの足跡が続いていた。


「これは…?洋子と犯人の…」


灰音がしゃがんで足跡を見る。


「だろうな、こっちがたぶん洋子で……もう一つの足跡、ずいぶんちっさくねーか?」


「そうだね、この前みたいに犯人は子供のバケバケなのかも…」


千秋も灰音の隣にしゃがむ。


「相手が子供だったから洋子は油断してついて行ったのか。」


「……そうかもな。……俺はシイと木の陰にいたが……洋子が抵抗するような音は聞いていない……。」


「とにかく、足跡を追ってみましょうよ。」


エレジーの提案に、二人は立ち上がった。


「そうだね!行こう!!」


「あぁ、この足跡が洋子のかはわからないけど、これしか手がかりねーしな。」