バケバケ





男は細い道をまっすぐ進んで右に曲がった。


私たちも一緒に右に曲がる。


どこに行くんだろう。





そして……






「いない……?」


そこに男の姿はなかった。


たしかに男は右に曲がった。


それにここは行き止まり…


「くそっ、どこに行ったんだ。」


シイは一歩進み出た。


その時だった。


「…っ!」


何かが飛び散り私の顔にかかった。


手で触ると指先が赤く染まった。






…血?


「シイ!」


崩れ落ちたシイの体に無数の切り傷があるのが見える。






何が起こったの…?


シイが…シイを助けなきゃ!


「来るな!」


「えっ…」


「洋子!そこから動くなよ!ばれてたんだ。」