…シイと燕さんだ。
煙が少しずつ晴れ、はっきりと二人の姿が見えるようになった時だった。
うっすらと残る煙を裂くように、あの双子のバケバケが飛び出して来た。
二人は手を繋ぎ、繋いだ手の周りの景色が歪んでいた。
「何あれ…」
「ヤバイぞ!」
灰音が叫んだ。
「あのバケバケ…ありったけの力を出しきるつもりだ!」
「どういうこと?」
「自分達が消える覚悟で空間を歪ませるほどの力を出してるんだよ、…あんなの喰らったら…」
双子のバケバケは真っ直ぐシイに向かっていた。
「シイ!!」
気がついたら、私はバケバケとシイの間に飛び出していた。
「洋子!」
後ろで灰音の声がした。
シイが私に手を伸ばすのが見えた。
そして同時に、双子のバケバケの繋がれた手は、わたしのすぐ近くにあった。
一瞬だった。
世界が真っ白になって…
もう、そのあとどうなったのか…
私にはわからない。