「そうだね、家にお招きしなくちゃ!」
「いや、あの話そんな長くないんで…今ここで…」
「大変だ、ミナミ!お客様にお出しする菓子がないぞ!!」
「……。」
とうとう灰音が黙った。
灰音かわいそうだよ、話聞いてあげてよミナミさん!
ミナミさんと男の人は灰音そっちのけで盛り上がっていた。
「お菓子…昨日の夜まであったよね?」
「あぁ、あったあった!けど俺が食べちゃったからな!」
「えー!」
「おいしかったぞ!奈古美駅前のバームクーヘン…」
「もうっ!兄ちゃんのバカー!!」
……?
お兄ちゃん?
「洋子…ひょっとして今この件解決したんじゃないか?」
「…うん。」
私は横目に竹内さんの方を見た。
さっきまで絶望しかなかった顔が明るく生き生きと輝いていた。
「解決したみたいだね。」
「いや、やっぱりまだ早いぞ!」
灰音が再びこの兄妹の会話に入っていった。


