バケバケ




「シイ!」


座り込んだ私にもたれ掛かるようにして、シイはぐったりしていた。


「大丈夫!?…シイ!」


シイがゆっくりと頭を起こす。


「俺は大丈夫。洋子はケガないか?」


「うん、シイのおかげだよ。」


「そっか、よかった。」


シイは砂ぼこりを払いながら立ち上がった。






砂煙の中に二人の子供のシルエットが浮かびあがる。


「お前ら、わざと洋子狙いやがったな。」


砂煙が晴れ、二人の姿がはっきりと見えた。


相変わらず二人とも無表情のままだ。


「大人数を相手する時は地道に相手の数を減らしてゆくのですよ。…常識なのです。」


女の子がつぶやくようにぽつりと言った。


そして、千秋と燕さんの方に向き直る。


「どんな強力な仲間を連れて来たのかと思えば……何なのですか?足手まとい連れてくるなんて。」


「なめているのですか?…と、訊きたいところですが、弱点を見つけたので良しとするのですよ。」