シイの部屋の床にタオルケットの塊が落ちていた。


「シイ!」


慌てて駆け寄ってタオルケットをめくると気持ち良さそうに眠るシイの姿があった。


まだパジャマ着てる…


「シイ、起きて!もう昼だよ!?」


「んー…あ、洋子。おはよ…」


「だからもう昼だってば。」


シイはのそのそと起き上がり、近くに転がっていたメガネをかけると、大きなあくびをした。


「やべ…寝過ごした。」


「着替えたら下においでよ?お昼にしよ。」


「わかった。」






シイの部屋のドアを閉めながら、私は内心ほっとしていた。


三好先生が言ってた…
持ち主のいないバケバケは消える。


そして、今…
シイの持ち主はいない。


このままだと、シイもいずれ…




リビングのテーブルの上に、ラップのかかった皿が2つあった。


たぶんお母さんが朝、私とシイのために置いて行ってくれたんだろう。


「サンドイッチだ。」


「うわっ!」


私の真後ろに着替えを終えたシイがいた。