6.大好きなんだ





俺は倒れた三好先生のすぐ隣にしゃがんだ。


まだ意識がある。


「…体が刃物になる能力なの…?」


「いや、違う。応用して刃物にしただけ。」


「応用か…僕はダメだなぁ…」


「ホントだな。」


「……。」


「で、さっき言ってた約束って?」


「あぁ…さっきも言ったけど僕の持ち主は一年前に亡くなった。その時、約束したんだ。」


「なんて?」


「お墓参りだよ。」


「お墓参り?」


「うん。僕の持ち主はこの幼稚園に通う体の弱い女の子でね…

…病気だったんだ。
それも、今の医療じゃ治らないくらいの…

年中の冬まで幼稚園通ってたんだけど、だんだん病状が悪化して、通えなくなった。

それどころか、外に出るのさえ危険になったんだよ。

僕はそんな時にバケバケになった。

僕は彼女がよく幼稚園で遊んでたオモチャのくまでだったんだけどね、

彼女の外で遊びたい。
友達と遊びたい。
だから、生きたい。

って心からバケバケとして生まれ変わったんだ。」


「……」


「彼女は強い心の力を持ってた。それこそ、そこにいる洋子ちゃんみたいに。」


三好先生は洋子を指差した。