「えいっ!」


三好先生はさらに追い撃ちを掛けるように飛びかかる。


避けきれず、吹っ飛ばされるシイ。


「シイ…!」


「…大丈夫。」


シイは立ち上がり呼吸を整えた。


「…ふー、ちょっと動きが早くなったな。…けど…」

シイの左の首筋を黒いものが頬にかけて伝っていく。

黒い炎だ。


同じように、左の手の甲にも黒い炎が現れる。




「…契約の印…」


シイが三好先生との間合いを瞬時に詰め、それに反応し、伸ばしかけた三好先生の手を凪ぎ払う。


シイの右肘が横一閃に三好先生を捕らえた。


一瞬だった。


本当に一瞬だったのに、スローモーションのようだった。


三好先生の体から赤い血が吹き出し、鈍い音を立て、地面に崩れ落ちた。




子供たちの声援が止む。


遊園地の楽しげな音楽だけが流れていた。