4.記憶






雨がアスファルトの色を変えていく。


灰色を背景にそびえ立つ、愛空幼稚園。


赤レンガのそれはさっき見たときとは別の建物のようだった。




「さて、さっきエレジーに頼んでチビッコシイには校門前まで来るように言ってもらった。…そろそろ来るはずだけど…」


校門の向こうから走ってくる小さな影がみえた。


チビッコシイだ。


チビッコシイがこっちに向かって走ってくる。


…あれ?


こんな光景前にも見たような…


小さい男の子が私のところに走ってくる…


昔…


「どうした?」


シイが心配そうに聞く。


「…なんでもないよ。…あ、ほら来たよ!」


チビッコシイが校門のすぐ手前まで来ていた。


問題はここからだ。




門の前には警備員がいる。


本体の方のシイは警備員には見えないからいいが、チビッコの方は警備員に見えている。


その状況で門の前でチビッコを本体に戻したりしたら…