5.大切なもの






それにしてもさっきのはひやひやしたなぁ。


洋子がホントに消えるんじゃないかと思った。


よかった。


シイも洋子もこれなら大丈夫だ。


シイの黒い炎が見れなかったのは残念だけどね。





「灰音。」


「んぁ?」


「エレジーはどこに行ったんだ?」


…エレジー。


そういえばあいつ急にいなくなったな。


「トイレでも行ったんか?」


「遅すぎだろ。」


そうだな…。


基本俺のそばから離れるやつじゃないし…


一体どこに…






―バン―





「!」


地下室の鉄製の扉が勢いよく開いた。




「ハイネ!」




「エレジー!どうした?」




扉を開けたのはひどく息を切らしたエレジーだった。


「たいへんよぅ…トキが…!」


「トキ?」


「トキが…逃げて!…特に洋子は…!」




「落ち着け、エレジー!何があったのか冷静に……!!」





―バタッ―



「エレジー!」