4.バケバコの秘密
銀色の檻が消えていく。
「結局黒い炎は出さなかったんだな。」
灰音が言った。
「ん、合格。行ってよし。」
「…合格?」
「悪いなぁ、シイ。俺ちょっとお前らを試しちゃったよ。」
「試す…?」
何の話だ?
「今は早く洋子んとこに行ってやれよ。…んでまた洋子連れて戻ってこい。」
「……ありがとう。」
なんだかよく分からないが解放してくれるらしい。
モニターには木にもたれて眠る洋子の姿があった。
早く…洋子のところに…
俺は走ってアンティークショップ神埼を飛び出した。
森が広がる。
先まで続く一本の道。
その途中に洋子はいた。
俺に気がつく様子もなく、ただ目をつぶって座り込んでいた。
駆け寄ってぐったりした洋子の体を起こす。
髪は乱れて、制服は少し汚れているが、怪我はないみたいだ。