なんとなく手持ちぶさたで、部屋を見回す。蓮の部屋にも金魚が居る。その金魚水槽に目が留まる。うちに居るのと同じやつ。琉金っていう種類らしい。金魚には詳しくないけど綺麗だから、その種類の金魚を見るのは好きだった。 
 金魚を見ながらも、理名ちゃんをチラ見してるあたし。

「詩絵里さん」

「は、はい!」

「……いつまで」

 うお、チラ見してたの気付かれたかしら。

「いつまで……お兄ちゃんを奴隷にしているつもりなんですか?」

 理名ちゃんは、怖い顔をして言った。予想外の展開。そんなことを言われるなんて。そうか、理名ちゃんはそう思っていたんだ。返す言葉に困ってしまった。

「奴隷にしてるつもりなんて……」

「奴隷じゃないですか。もう、解放してあげてください」

 頭まで下げてきた。どうしようなんて言ったら良いんだろう。違うのに。

「詩絵里さんに怪我をさせてしまったのは、申し訳ないと思っています。右目がほとんど見えなくなったって聞いた時、辛かった。詩絵里さんも辛いと思う……でもこのままじゃお兄ちゃん、かわいそう」

「理名ちゃん」

 理名ちゃんは震えながら、でも言葉をストレートにぶつけてくる。理名ちゃんの言うとおりだ。奴隷として蓮を扱ってるつもりはなくても、彼女にはそう見えているんだ。