隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 ミナトさんも、思うところがあるのだろうか。むしゃくしゃした気分だとか。あたしを迎えに行ったらなんか泣かれて、手を振り払われて。頭に来たのかもしれない。……考えすぎか。

 海を見たらあと家に送るよ、とミナトさんが言うので「あとで届けるよ」とミナトさんが止めるのも聞かず、生乾きの服を畳んで持って、とりあえず出掛けることにした。

 車で30分ほど走っただろうか。夜中なので、すれ違うのはトラックが多い。道路は空いていた。
 広い場所へ入って行き、車を駐車し、外へ出た。駐車場だったんだ車からはよく見えなかったけど、降りて足下を見ると白線が引いてある。

 ここへ来るまでに雨は止んで、驚いたことに月まで出ていた。風が冷たいけれど、とても綺麗な海だった。月明かりは海面に映って、キラキラしていた。

「きれい」

 ここは太平洋に面した港。仙台新港。波の音が聞こえる。コンクリートの足場を端まで行くと、すぐ下は海だ。ちょっと先に大きな船が停泊していた。あれはなんの船なんだろう。船に詳しくないからよくは分からないけれど。

「綺麗だな」

「うん」

 暗い海を見ながら、考える。
 あたしは、どうするべきか。あたしは、どうしたいのか。まだ全然、分からない。答えなんか出ない。