隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 ……やだ。酔っぱらって、絡んでるんだ蓮。

「からかわないで」

「……好きなのか?」

 まだ、蓮はあたしを見ている。あたしは蓮を見られない。
 なんだろう。彼氏ができて、蓮に話したことは何度もあるのに。なんか、言いたくない。本当は、こうやって2人で飲むのも辞めないといけないのに。
 誘われたから、来てしまった。

「……」

「そいつの事、好きなのか?」

 好きなのか? なんで、そんな事聞くの。やめて。そんなにウキウキ感出してたのか。自分にイライラする。
 ウキウキしてたのは、蓮になのか、ミナトさんになのか。離れようと思ったのに、もう揺らいでいる。

「か、関係ないよ、蓮には……」

「関係ないってことないだろ。俺は……」

 蓮は口を尖らせる。続きの言葉をあたしは待つ。

「友達じゃんか」

 ……友達。ともだち?

「……」

「お前の事、いちばん分かる友達じゃんか。教えろよ、蔑ろにすんなって」

 ともだち。

「……ば」

「ば?」

 いやだ。

「バッカじゃないの? あたしのことなんか蓮に分かるか!」

 自分がいやだ。自分がキライ。出たのはけっこうな大声だった。ロックがかかってる店内に、けっこう自分の声が響いた。

「おい」

 店内が一斉にこっちを見る。それを感じた。タケさんもこっちを見た。蓮は体を起こし、困った顔をした。なんか、こういうの前にもあったよね。

「なに怒ってんだよ、俺は別に……」

「あたし帰る。サンドウィッチ食べていいよ。じゃあね!」

 バックを乱暴に取り、出入口へ向かった。