隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 蓮が、解読不可能な言葉を発した。眠いのかなぁ。仕方ない人だ。カウンターに突っ伏して寝てしまいそう。そうなったら、どうするかタケさんに相談しよう。
 この店で潰れるまで飲むなんてこと、あんまりあたしは知らない。あたしが居ない時にやってるかもしれないけれど。

「終了時間に、店長に用事頼まれて、出られなくなっちゃって」

「んーまぁ気にすんな。無事に来て良かったよ」

 酔って、トロンとした目でこっちを見ている。やだな……なんだか、ちょっと色っぽいじゃないか。昼間、あんな爽やかだったのに。というか、あんなのを見ちゃったから、か。

「詩絵里さぁ」

「ん?」

「なんかあった? 今日、明るいじゃん」

「え、そう? そんなに普段暗いかな、あたし」

「雰囲気だよ雰囲気」

 ミナトさんの顔が浮かぶ。

「肌ツヤとかぁー、なんてな」

 顔が、赤くなるのが分かる。あたしはお酒を飲んでないから、酔ってるわけじゃない。そんなに見ないで欲しい。

「男でもできたか」

「あー……」

 言葉に詰まってしまった。なんだろう、蓮には知られたくなかった。

「当たりだな」

「べ、別に」

 カウンターに体を突っ伏すようにして、あたしをのぞき込んでる蓮。

「なんだよ、いいじゃん。教えろよ」

「違うって。そんなんじゃないのよ」

「あ、やっぱ男なんだ」