隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

「明日は普通に仕事でしょ? あたし家で食べるし、飲み物だけでいいよ」

「いや、俺もまだメシ食ってないよ。待ってたし」

「ほんとー? ごめんね」

 待ってる間、だいぶ飲んでいたんだろう。蓮は酔っている。ろれつがあやしい。

「大丈夫? けっこう飲んでるね」

「んー」

 生返事。

「しーちゃんが遅いって愚痴言ってたぞ」

 タケさんが「オーダーは?」と聞いてきた。遅いからってこんな飲んでタケさんに愚痴っても……蓮らしくないかも。

「ジンジャエールください」

「蓮、ちょっといつもより飲んでるかも。困ったら言って。俺んとこ泊めてもいいし。ここに置いていくわけに行かないから」

 蓮に水を出して、困った顔をして仕事に戻るタケさん。今日は黒のTシャツになんかジャラジャラと色んなシルバーが付いたデニム。髪をハーフアップにして。今日も格好いいですけど、そのジャラジャラ、凶器にしか見えないから職務質問されると思います。

 店内の座席は全て埋まっていた。見知った顔もいる。
 さっきは、人出が少ないと思っていたけれど、この店に限り、日曜の夜なのに混んでるんだなぁ。
 カウンターのタケさんは、バイトの男の子と一緒に、忙しそうに動いている。(あ、男の子を雇ったんですね。)
 時折、向かいのお客さんと会話を交わして、笑ったり。あたしはサンドウィッチを頼み、先に来たジンジャエールに口を付ける。