「はい、じゃあ自己紹介~」

 もう本当にこのノリだいっきらい。名札でも付けておけば良かった。

 あれよあれよという間に、飲み会をセッティングして今日が当日。ヨウコちゃんは行動が早い。

 なんなのこの男女交互に座りましょうな感じ。こう座らなくたって良いじゃないの。ヨウコちゃんの隣で飲みたいわ!

 週末になれば若者で一杯になるような、手頃な値段でやってます的な居酒屋での飲み会。うるさい。若者やサラリーマンの笑う大きな声、煙草の煙と匂い。酒臭さ。

 家を出る時に、箪笥の角に足の小指をぶつけてしまって、かなり不機嫌なまま歩いてきたのだ。

 それとこれとは関係無いけれど、今日はとても居心地が悪い。関係無いとは思ったけど、足の小指をぶつけたのは、悪い知らせだったのかもしれない。

 女の子はヨウコちゃんの友達。ヨウコちゃんとは違った種類の匂いがする美人と、可愛い子ばっかり。

 OLさん、大学生。バイトとか。そういえば「家事手伝い」は職業じゃないよ! ヒラヒラの感じの洋服と、クルクルに巻いたフワフワの髪の毛。あたしは、気合い入ってるって思われたくなくて、極力ハデな感じにはしないようにした。

 というか、そういうのを考えるのが合コンってヤツ。溜息。おしゃれして来るのが普通なんだろうな。もう本当に苦手だ。

「詩絵里さん、その髪は巻いたの? パーマ?」

「えっと、あたしこれ、くせっ毛で」

「へぇ~すごぃ~、カワイ~毛先クルクルだね~」

 ……なにごと。