隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 ばかやろう。思わず目に力が入ってしまった。そんなこと、たまに考えないで欲しかった。なんでそんなこと言うんだろう。

 このまま変わらないでは居られないんだろうか。蓮がやるキスのお祈りで、そこらへんは叶わないんだろうか。

「詩絵里だって好きな人ができて、そのうち結婚するだろ」

 蓮がそう言った時あたしは、なんだか焦ってしまった。結婚とか、そんなことまで考えてるわけ?

「い、居なくなるって」

 あたしは、まだ言うことを決めてないのに、口が勝手に動いたことにビックリした。

「居なくなるなら」

 あたしの前から居なくなるなんて。

「居なくなるんなら、あたしに目をちょうだいよ」

 恐ろしくぎこちない声だったと思う。そして恐ろしい言葉だったと思う。
 言うに事欠いて、言ってはいけないことを言ってしまった、ような気がする。

 あたしは一応ニッと笑った。それすらも冗談だった。口の端を歪ませただけだった。蓮は、あたしを見ていない。

 すっ、と蓮が息を吸う音が聞こえる。何を、言うの? これ以上、あたしは。