隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 ヨウコちゃんは何かとあたしのことを心配してくれてて、ありがたい人だ。それでいて、こんなことを言う時も押しつけがましくない。

 アドバイスをするけど押しつけではなく「あんたらの問題だから」といつも言っている。要するに、いつまでもこのままじゃ蓮が可哀想ということ。
 それは何度も思うこと。分かってるんだけど。

「……うん、このままでずっと居られるわけじゃないとは思ってるんだよね」

 気持ちのこもってない台詞だなとは思った。本当にそう思ってんのかしら、あたし。

「……蓮の人生ってもんもあるし」

 バカにしてんのか、あたし。自分にちょっと腹が立った。よくもまぁこんなことを言えたもんだな。

 蓮に、あたしとのこの状態をどう思ってるのか、将来をどう考えているのか、聞いたことは無い。そして聞くのが怖い。おしっこチビりそうなくらい怖い。
 正直な話、結婚しちゃえばいいんだけどな。……なんてね。

 何も言わないでそばに居る蓮は、どんな思いでいるんだろうということを考えると少し胸が痛むが、そのチクチクというか苦しいというか、それがちょっとクセになってる。

 気持ちよくて、とか言ったらヨウコちゃんにハイキックされるかもしれないけど。

 その胸の痛みが、蓮はあたしのものだっていう確信になっていたりもする。チクチクするのが嬉しいんだ。

 蓮はあたしの痛みで、蓮はあたしが無くした片目だからだ。
 そうぐるぐると考えながら、あたしはグラスに巻いた紙ナフキンをいじる。

 蓮のことが好きだということは、ヨウコちゃんにも、もちろん蓮にも言ってない。言えない。
 恋なのか愛なのか分からないけど、離れて欲しくなかったし、手放したくなかった。