隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 蓮はモテる。背が高くて色白でサラサラヘアーの美人だ。美人って形容が一番合う。実際ちょっと女顔なんだよね。でも結構、男らしい面もある。
 あたしはちょっと癖毛で、蓮の髪をいつも羨ましいと思っていて、そして触るのが好きだった。そんなにしょっちゅうは触れないけど。

 そう。蓮はモテるんだ。中学とか高校とか。何度「蓮くんと連絡取りたいんだけど」女子が近寄ってきたことか。
 それを軒並み亡き者に……できるわけもないので、蓮に全部話した。

「彼女を作ってみたんだけど」

 ある日、そう言われた。学校の廊下で。うそだろって思ったけど、けっこう蓮は真面目な顔で言うので、あたしはにっこりと笑ってみせた。

「そうなんだ。いいじゃん彼女」

「でも、詩絵里はちょっと違う」

 意味が分からない。
 分からなくて、あたしは蓮の目の前で泣いてしまったんだ。

「なんで泣くんだよ。どこか痛いのか?」

「痛くない。別になんともない」

 今も昔も、思いを口にしないで泣いて蓮を困らせる。女と涙を使って蓮を苦しめてる。
 学生服の蓮の、困った顔が忘れられない。