隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 あたしの顔は涙でグチャグチャだろう。顔面が熱いもの。でも、そんなのどうでもいい。

「あたしは、2人で生きたいです」

 自由な方の腕が、あたしを引き寄せる。ぎゅっとされ、蓮の鎖骨がおでこにゴツっと当たった。

「最初から、子供の頃から……そのつもりだ」

 病室は窓から入る陽の光に包まれて、それは、ほとんど見えない右目でも感じる。
 影だった2人は光になれる、きっと。蓮はあたしの右瞼に、お祈りのキスをした。一瞬、見えるようになった気がした。

 蓮が退院したら、もう少し大きな水槽を買おう。金魚二匹でも窮屈じゃないやつ。縁がひらひらのやつで。色は蓮に選んでもらおう。

 病室の窓際で、金魚達はゆらゆらゆらゆら。まるで踊っているみたいだ。

 あたしのほとんど見えない右目には、蓮のお祈り。祈ってくれる蓮の背中には翼がある。

 あたしは、その背中を離さないように、どこかへ飛んで行ってしまわないようにと、ぎゅっと抱きしめた。




                end