隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

「子供みたいだとか中2病こじらせたのかとか、簡単にこんなの彫ったとか、別にどう言われたっていい。俺はそう決めたんだ」

 そう言う、蓮の顔がちゃんと見られない。

「……蓮、今まで縛っててごめんね」

 蓮は「ばか」とか言いながら、窓の外に目をやる。

「そんな風に思ったことないし」

「だっ……て」

 体中の水分が全部出ちゃうんじゃないかと思うくらい、涙が出る。溢れ出て止まらないよ。蓮が喋ると出るもの。

「怪我させた後だって、引っ越しはしたけど転校はしたくなかった。離れるのイヤで、親に頼んだんだ」

 入院した頃より、蓮の前髪は少し伸びていた。

「お前のそばに、居たかったんだよ」

 だから、あたし達は大人になったのだろう。大人になって、子供の頃の思いを伝える為に。辛いことや悲しいことを乗り越えて、大人になって来た。

「嫌だよ」

 蓮の腕を掴む。

「どっか行っちゃ嫌だよ」

 ギプスの上から、掴む。蓮の腕って、どういう感じだったっけ。思い出せない。

「あたしのそばに、居てください……」

 ギブスをしていない方の手で、あたしの頭を撫でる蓮。髪の毛の長さ分の移動をして、また頭頂へ。それをゆっくり繰り返す。

「いつまで泣いてんの、すえりちゃん」

「……どこにも行かないでください……」