隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 目を覚ましてからの蓮は、メキメキと回復している。回復スピードを速める為に眠っていたようなもんだ。しっかし、目覚めたと思ったらこれだもんな。

「ご両親に泣かれるよ」

「もうとっくに。泣かれたっていうか、まぁ怒られて、そんで呆れてた。父さんには消せって怒鳴られたよ」

「だろうね……」

「会社の人には見付からないようにしなきゃなぁ」

 しなきゃなって……。改めて思ったけど、なんか、この刺青を知らなかったのあたしだけなのね。ちょっと寂しいなそれ。 
 あたしは会社の人達がお見舞いに来た時に、落書きをしていったギプスを見ながら言う。

「社員旅行で温泉なんて、絶対無理だね。夏にプールもだめ」

「海行けば良いじゃん。詩絵里、ビキニ着ろビキニ」

 何言ってんのよ。
 足のギプスにも落書き。あ、タケさんの落書きもある。あたしも書こうかなぁ。ペンどこだっけ?

「だって翼があれば、何かあってもどこでも早く行けそうじゃん?」

 子供みたい。バッカじゃないの。

「バッサバサ飛んで行くし」

「どこに飛んで行く気よ」

 蓮はまた片手で器用にパジャマを羽織る。