隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 タケさんが、もの凄い鋭い目であたしを見た。怖くて、一気に体が冷えていく。

「タケ……さ」

「……意識不明の重体のヤツに言う言葉かよ」

 タケさんが、ゆっくりと席を立つ。あたしに近付いてくる。凄く睨まれて、そんな顔見たこと無い。怖い。タケさんの怒った顔、初めて見た。

「蓮もずいぶん甘やかしたもんだ」

「タケさん……?」

 怒ってる。その目の鋭さに、震えが来る。自分勝手なことを言ったと、言ってしまってから遅い後悔。
 タケさんは自分の弟のように蓮を可愛がっている。可愛がってるからこそ、あたしの身勝手さに腹が立ったのだろう。怒らせてしまった。あたしの言葉がタケさんを怒らせてしまった。
 ゆっくりとタケさんがあたしに近寄ってくる。

「しーちゃんさ、自分のことばっかりで、蓮の気持ちってあんまり考えたことないだろ」

 暗い、暗い闇に燃えてる炎みたいな目をしている。憎しみすら滲ませて。

「深く、蓮のことを、さ」

 そばに立って、座っているあたしを見下ろす。

「あいつがどんな思いで、しーちゃんのそばに居るとか、考えたことあんの?」

 ガタン。あたしは無意識に席を立ち、後ずさりをしていた。そのまま下がったって、壁があるだけで、逃げ道なんか無いのに。恐怖で足がすくんでしまう。

「た、タケさ……」