隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

「蓮は、彼女とか居るのか?」

「居ない、と思いますけど……」

 たぶん。知らない。居ないと思う。あたしが勝手にそう思ってるだけかもしれなけれど。

「2人とも、あんまり近すぎてお互いをよく分かってないって感じだな」

 あたしは、タケさんの長袖からチラリと見える、刺青の端を見ていた。

「そうかもしれない」

 独り言のように口から出た。

「怪我のことも、別にあたし蓮のこと恨んでないのに。ずっと面倒見て保護者みたいで」

 タケさんに言ってる? 言ってどうするの。聞かせてどうするの。

「その……事故も、バイクは気を付けてねって言ってるのに、勝手に事故って」

 蓮、蓮。大事な人。好きなのに。

「……カードも、そんなの見せられて……」

 止まらない。こんなの望んでいないもの。こんなことになって、辛いばっかりで。無くしたくなくて。そればかり。

「蓮、どんな気持ちでそれ書いたのか、分からない」

 バリン!! 突然、割れる音。背後の壁に何かがぶつかって割れた音。びっくりして、声が出なかった。タケさんがグラスをあたしの向こう側に投げつけた音だった。
 なに……タケさん。どうして……。

「ふざけんなよ」