地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

甘い香水の匂いがする。

これ好きなんだよねぇ……。


あ……そーいえば。

えっと、橘くんだっけ?

彼も香水つけてるんだけど、ちょっとあたしにとっては匂いがキツイ。

甘ったるすぎて……気持ち悪くなるんだよねぇ。

いっつも隣に座られるから、余計に強く感じるのかも。


「でも、やめてくださいとは……言えないしなぁ」

「は?」

「隣に来ないでとも言えないし」

「杏?」

「ん?」

「何ブツブツ言ってんの?」

「へっ!?」


心の中で言っていたつもりだったのに、口に出ていたみたいです。

陸が不思議そうにあたしを見てた。


なので、今考えていたことを全部話す。


「う〜ん、どうしよう?」


話し終えて、そう呟いた瞬間。


「杏、お前は彼氏に抱き着いておりながら……他の男のことを考えてんのか?」