地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

季節は春だし……暖かくて眠たくなるのはわかる。

だがな……。

コイツは自覚がなさすぎる。


裏庭は、学生たちはほとんど来ねぇし、静かな場所。

日当たりも良いし、穴場だが……こんなところで寝てたら、襲われるかもしれないだろーが。


仮にも、大学内じゃ……No.1と言われている美女。

男どもが、つねに狙ってるのに。



「ハァ……このバカ」


膝を折って、寝てる杏の顔を覗き込んだ。


……やっぱ、カワイイ寝顔。

今起こしたら……甘えて抱き着いてくっかな?

“「りー……抱っこ……」”って。


うん、起こそう。

コイツを久々に抱きしめたい。



そう考えて、杏の柔らかい頬に手を沿える。


「杏? 起きろ」


軽くペチペチと叩いた。