朝から、大学で試験だったから、陸も来ているし、もう終わったはずなのに。

まだ来ないんだよねぇ~。


そう思っていた時。



「「「「「キャアアアア!」」」」」



カフェテリア内に、女の子たちの歓声が響いた。


あ~……来たことがなんともわかりやすいですよね。

歓声が聞こえた方に顔を向けると。


「ごめんね、遅れた!」


ネコ被っている王子様仕様の陸がやって来る。

いつものことながら……王子様の陸はキモいです。


でも、そんなことこの場で口に出したら、閻魔大王様降臨になってしまうので……。


「いいよ。今ご飯頼もうかって、零ちゃんと話してたから」


言いたいことは我慢して、ヤツを出迎えた。


すると。


「杏わり、もらう」


――カタンッ

そう一言断ると、あたしの飲んでいたアイスティーに手を伸ばす。


「え……あ!」


と、言った時にはもう遅くて。


「はぁー生き返った!」


陸はあろうことか、あたしの残っていたアイスティーを飲み干した。


「あ、アイスティー!!」


思わず座っていたイスから立ち上がって、そう叫ぶ。

透明なグラスに残っているのは、氷だけ。

あたしのモノ、勝手に飲んだ!!

キッと睨みつけるものの、陸は涼しい顔だ。


「ちゃんと断っただろーが」


しれっと、そんなことを言う。


「あたしは承諾してない! このバカ陸!」


小声で、反抗してみた。