――陸side――


堕落した生活が始まったのは、いつからだったか。

たぶん、中学に入った頃だったと思う。

始まりは……友達の彼女だった。




中学に入ると、男女ともに思春期を迎える。

俺のまわりは、カップルになるヤツも多くて、クラスにも何組かいた。


その中の、ひと組カップル。


男は性格も良く、モテるヤツで、女も学年でかわいいと評判のヤツだった。


簡単に言えば、お似合いの美男美女カップル。


もう名前は忘れたが、俺から見たら仲のいいヤツらだった。






俺も、その頃は女たちから告られることが多く。


しかし、彼女を作る気はまったくなかったため、すべて断っていた。


親父の仕事に興味を持ち始めていて、経済について学んでいた方が楽しかった。


学校でも、悠はいたし。

友達も多かったので、ヤツらと遊ぶ方が優先だったんだ。





だが―――。

その生活が壊れる日が来た。



中1の夏。

たしか悠と出かけた先で、そのカップルに会った。


「おっ! 陸じゃん!」


男の方から声をかけてきて、彼女が後ろからついてくる。


「デートか?」


悠が男を茶化すと、女が顔を赤く染めた。

俺は……本当に好き同士のカップルなんだと、この時は思っていた。


でも。

そいつらが、俺たちと別れようとした時。

――カサッ


女がさっと俺に近づいてきて……手に何かを握らせる。