今日は、会長の病室に、みんなを呼んである。

どうして病院かというと、まだ彼らが退院していなくて、あたしの家だと、集合が困難だから。

目的は、もちろん……預かっていた品を返すため。

あと、京都土産の八つ橋を渡すためでもある。



電車に乗って、目的地近くの駅で降り、大きな総合病院に入った。

看護師さんに挨拶をしながら、会長の病室を目指す。


「着いた~」


病室の扉の横の壁に、高瀬蓮と書かれた名前のプレートを確認して、ノックした。


――コンコン


「はい」


会長の低い声が聞こえて、スライド式のドアを開ける。


「会長~?」


何も考えずに開けたのに。

病室の中には、驚きの人物がいた。


「えっ……」


その人は、あたしと目がばっちりと合い、お互いに体が固まる。


「は?」


病室の中にいた、会長以外の人物を見て、陸も変な声を上げた。

それくらい、ここにいるのが不思議な人物だったんだ。




だって……だって……だって!!!!


「お、女の子がいる!!!!」


大の女嫌いの会長の病室に、女の子がいたから。


そして、それだけではなかったのです。

その女の子っていうのが……。







「ち、茅那(ちな)ちゃん!?」



国民的アイドルグループ、BKN48の人気№1メンバー、茅那ちゃんだったから。