陸くん陸くんって……陸は、皆さんのモノじゃないんだけど。


「それに、なんであなた陸様のことを呼び捨てなのよ!?私だって、呼んだことがないのに!ファンなら、クラブ会長の私の言うことを聞きなさい!!」


……。

あなたが大学バージョンのファンクラブ会長なんだ。

リカとは別の他の女の子が、ふんぞり返って言う。


なんで呼び捨てかって言われても……高1から名前で呼んでるし……。

だいたい……最初に陸が呼べって命令したんだもんなぁ。

それに、あたし……陸ファンじゃない。


「陸様の彼女でもないくせに、調子乗るんじゃないわよ!」


……ちょっとカチンと来た。

それは、こっちのセリフだってば!



「……彼女です。それなら、文句ありませんよね?」


そう一気に、淡々と告げた。


「「「「「えっ?」」」」」

「体調悪いんで、連れて帰ります。陸、行くよ?」



教室にいた女の子全員が、ピシッと音を立てて固まる中──。

陸の手を引いて、その場を後にした。


チラッと振り返ったら……零ちゃん達だけが、ニッコリ笑ってピースサインをしてくれてたんだ。


ちょっと嬉しかった。