お弁当……おいしくなかったかな。

陸のキライな野菜類も、ちょっと工夫してみたんだけど。


「……杏……」

「なぁに?」


ボーッとお弁当を見つめていた陸が、顔を上げる。



あ……。

これ……ヤバイかも。

表情を見た瞬間、いつもと違うことがわかった。

体調が悪そうだ。


「ひざ枕してくれ……」


か細い声が聞こえる。

陸が“お願い”して来た!

いつもは……「ひざ枕!」って命令したりとか、勝手に寝転んで来たりするのに。


「いいよ。おいで?」


食べ切れなかったお弁当を片付けて、ポンポンと自分の太ももを叩く。

すぐにゴロンと横になるかと思ってたら……ギューっと胸に顔をうずめて抱きしめられた。