「先生、いないんだ」


見回してみても、誰もいない。


ベッドを仕切るカーテンもすべて空いていて、私たち、二人きり、みたいだ。


「ほら、拭けよ」


男子生徒はそう言い、雑巾を私に投げてよこした。


この人、本当に雑巾で拭かせる気だ……。


「あの……」


「なんだよ」


「雑巾より、私のハンカチの方が綺麗ですけど」