「……万代が俺たちのこと大切に思っちょるって、みんな知っちょーよ。万代が俺らを大切にしてくれるから、俺らも万代のこと、大切にしたいって思うが」
まるで言い聞かせるように、水島くんはわたしの両手を小さく縦に揺らす。
「だけん、俺らが誰になにを言われようと、万代が気に病むことなかよ。俺ら自身が万代といたいって思っちょる」
目を逸らすことは簡単なのに、そうさせてくれないなにかが彼の瞳にはあるのかもしれない。
「瞬にとって、みくるにとって、俺にとって万代は、ここにおる万代だけってこと、忘れんで」
……水島くん。
あなたにそんな風に言わせるほど、わたしは大した人間じゃないけれど。
「水島くん、」
「うん？」
「救助要員の席はまだ、空いてますか」
こぼれそうな涙を拭いたかったけれど、そうさせてくれない水島くんは目を見張って――…。
「空いちょるっ！」
いつものように、おかしそうに、嬉しそうに、顔をほころばせて笑ってくれた。
そのあとすぐに「泣くなやー！」と、掴んだままの両手をわたしの顔に押しつけてきた。
やめてください、と言いながらわたしも笑っていた。
泣きながら笑うなんて、変なの。
だけどあんまり幸せで、突然抱きついてきたみくるちゃんのことも抱き締め返し、喜びを噛みしめた。
