水島くんは手のひらを上にして、両手を差し出してくる。


それがなにを意味するのかわからないまま、水島くんの両手に自分のそれを重ねるすんでのところで動きを止めると、くすりと含み笑いが鼓膜を撫でた。


「……っ!?」


行き場を失っていたわたしの両手を水島くんが取り、ゆるやかに握り締める。


いったいなにが起きているのか整理すらできず、困惑したまま水島くんに目を遣った。


「えと……ど、どうしました?」

「まだ俺とは仲直りしちょらん」

「えっ……いや、あの……」

「おっかしいな。俺、避けられちょった気が」

「すいませんでした!!」


かぶせ気味に謝ると、水島くんはいつものようにふはっと吹き出した。


またからかってたんですね。水島くんのことも巻き込んだ手前、強く言えないけど……なんて。


本当の理由は、わたしの両手を握る温度に、めまいがするほど強烈に支配されているから。


握り返すなんて、とてもじゃないけどできない。


「仲直り? 友達でいたい枠に、俺も入っちょる?」

「う、はい。入って……ます」


俯いた顔が内側からじわじわと熱くなる。


自身の言葉に加え、ぎゅっとわたしの手を握る力まで強くなったせいだ。