「京に勉強見てもらえるなんて超贅沢だよ。ね、ハカセ」
「そうだね。なんせ本気を出さなくても、3位以下は獲らない頭脳の持ち主だからね」
え……じゃあ本気を出せば常に1位になれるってこと?
「え? 試験で本気を出さないってどうやるの? 事前に勉強しないとか、見直しをしないってこと?」
「まあ、見直しはしちょらんけど」
「そういえば京って後半寝てるよね」
「寝っ……!? うちの中等部をナメくさってる……!」
吹き出した水島くんはなにがそんなにおかしいのか、しばらく腹を抱えてテーブルに額をくっ付けていた。
「万代ってほんと、ツボ……」
やっと笑いが止まったらしい水島くんは目尻を拭う。
「俺の本気うんぬんは置いといて、万代は遠慮しすぎ」
……遠慮というか、学校や塾の先生でもない人に勉強を見てもらうなんて、忍びないって気持ちは確かにある。
でもそれだけじゃないんですよ……水島くん。
「遠慮してたらもったいないよ。あたしたちも教えてもらったことあるけど、わかりやすい」
「そうだね。頼るどころか、こき使うくらいの気持ちでいたほうがお得だと思う」
「言えてるーっ」
笑い合うふたりから水島くんへ視線を移す。黒い双眸を柔く細められると、どうしてか、言葉に詰まってしまう。
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……だめだ。やっぱりわたし、優しさに、弱い。



