――あの日々が。
あの、終わりと始まりを繰り返した日々が、忘れられない。
そんなに昔のことじゃないのに、どうしてだろう。
みんな中学生や高校生だったことが今ではすごく懐かしくて、思い返すと若さに恥ずかしくなったりもする。
でも、真剣だった。一生懸命だった。
わたしも、彼も、彼女も、みんな。
脇目も振らず駆け出すことを恥ずかしいと思いながら、それでも駆け抜けるだけの想いがあった。
あのとき、ああしていれば。こうしていればよかった。
そう今でさえ思ってしまう出来事はあるけれど、二度と戻れない日々だと気付けたからこそ特別で、かけがえのない想いが詰まっていたと忘れられないからこそ、思い出は変わらず輝いている。
同じだといい。
あのころのわたしが今のわたしを彩っているように。
あのころのあなたが今のあなたを照らしているといい。
――ガラッ、と引き戸が開く音がした。
……やっとここまで来たよ。
あの日々の中、何度も涙を流しながら焦がれた未来で。
あなたは今も、笑えていますか。
「万代! 瞬っ!」
朝日の下で、変わらない大好きな笑顔が輝いた。
わたしと瞬と似た、3つ目のシルバーピアスが付けられていたのも、見逃さなかった。
「……っみ、水島く、」
「ははっ! まさか泣いちょー!? 久しぶりじゃなーっ」
夢が、叶ったんだね。わたしの夢も、叶ったんだね。
「会いに来たよ!」
だからお願い。
夢の続きを聞かせて。
【END】



