「わー……きれい」


白む空は橙色から青紫のグラデーションになっている。


薄く大きな雲も、太陽に近い場所だけ茜色に染まっていてきれいだった。


「あ。ありがとう」


隣に来たシノから温かいミルクティーを受け取る。車の向こうでは瞬が自販機の前にいた。


「なんか、すごく空が高いね」

「そう? べつに変わんないじゃん。高層ビルばっか見慣れてるからそう思うんだろ。目の錯覚」

「そうだね。展望台に行って、『夜景なんか眺める時間が無駄。金の無駄。星屑のほうがまだマシ』って言ったシノには、わからない感覚だったね」

「まだ怒ってんの? いいね、罵倒し合って俺が勝ちたい」


変態! 相手にしないが吉!


「瞬っ! 空がとっても高いよ!」

「ああ? だからどうした。空気おいしいってか」

「ねえ。俺と瞬のなにがちがうの?」


本当にね。興味が無いことにはとことん冷めたふたりだ。


「はあ……写真撮ろ……」

「そういやお前、アルバム持ってきたのか?」

「持ってきたよ。りっちゃんの協力も得て、中学生のときからキャンプのときまで一式」

「げえ……俺は絶対見たくねえ。中坊の自分とか寒イボ」


わたしだって恥ずかしいけど、頼まれちゃ仕方ないじゃない。


携帯できれいな朝焼けの写真を何枚か撮り、高台にある道路から見渡せる町並みを目に映す。まだ少し暗くてわかりづらいけど、都会と全く違うことは見て取れた。