あのまま流してくれてよかったのに、
「もうこんな風に、話せんけん」
そう目を伏せられたら、『瞬がおせっかい焼いたの。ごめんね』ってはぐらかせなくなる。
どうしよう、かな。
瞬はわたしに、告白するチャンスを与えてくれた。わたしのことを考えて、頑張れって言ってくれた。
わたしがどんな決意をしていようと、瞬自身はそうしたかったから。
でもね、瞬。離れ離れになるとわかっていてもなお、わたしの口は好きと言おうとしないんだ。
けじめとは、恋の終わりとは、なにを指すんだろう。
いやになるほど考えた。泣きながら考えた。
1年先、2年先、他の誰かを好きな自分が想像できないんだ。告白をしてフラれることも想像したけど、少しも満足できなかった。
けじめなんて欲しくない。終わりなんて思いたくない。
だってわたしはまだ、水島くんを好きでいたい。
水島くんに好きな人がいたって、この想いが報われることがなくたって、好きでいたい。
好きなんだもん。自分じゃどうにもできないくらい、始まりなんてわからないほど前から、今日まで。
わたしは明日も、これからも、水島くんのことが好きなんだよ。
「……水島くん」
「うん?」
どんなに小さな声でも、水島くんは拾ってくれるね。そうして目を合わせて、訊き返してくれるね。
だからいつものように教えてほしい。
「水島くんの好きな人って、どんな子ですか」
わたしが好きになった人の、好きな人のこと。



