水島くん、好きな人はいますか。



楽しい時間ほど、あっという間だ。


うるさくしないようにと声のボリュームを落としても会話は途切れず、くすくすと笑い声も絶えなかった。


広すぎる野原では真ん中なのかもわからない場所に腰をおろして2時間弱。


「やっぱ、友達かな」


みくるちゃんが唐突に言った。


「昨日のディスカッションの答え」


ふふ、と。照れくさそうにする彼女に笑顔にされるわたしもいれば、鼻で笑う輩もいる。


「俺の真似すんなよ」

「瞬は味方って言ったじゃん。あたしは万代と話して考え直したのっ」

「ああ!? 味方イコール友達にもなるだろーがっ!」

「瞬は照れ屋だけん、あえて味方って言うたが」

「うん、僕らわかってるから照れなくていいよ」

「なんっで俺が照れるんだよ! 気色わりぃ!」


静かにできない瞬につられ、みんなもだんだんと元の声量に戻っていく。


学校にいるみたいだなあ……。勉強会のときみたい。


楽しい。その裏に隠れている感情を知っている。


知らぬ間に生まれ、育った想い。慕う心に寄り添う多くはいつも、寂しさだ。


上手に言葉にできないから、うまく伝えられなくてもどかしい。伝わっているのか、僅かでも同じ気持ちを感じてくれているのか、不安になる。


……もう大丈夫?

水島くん。瞬。みくるちゃん。ハカセ。それから、わたし。


今笑えているように、明日も笑っていてくれるよね。